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通勤災害はどこからどこまで? 通勤災害が起きたときの対処

山下江法律事務所

 労働災害の一部である「通勤災害」は、家から会社に通う人ならば誰でも認定される可能性のあるものです。この「通勤災害」について取り上げます。

通勤災害とは、通勤中に起きたケガや病気のこと

 通勤災害とは、労働災害のうちの一部です。なお労働災害とは、働く人が業務を原因とすることでケガや病気などに見舞われることをいい、通勤災害と業務災害の2つから成り立っています。業務中に発生したケガや病気を「業務災害」といい、自宅―会社(現場)への行き来のときに生じたケガや病気を通勤災害といいます。

 通勤災害でもっともわかりやすいのは、「自宅から会社(現場)に出社する最中に、事故にあった」のようなケースでしょう。しかし実際には、「会社(現場)から自宅に戻る最中の事故」などのように、帰路で起こった事故などでも通勤災害と認められます(※認められないケースについては後述します)。
 また、直行直帰(現場に直接行き、その現場から直接帰る)や、出張中の事故なども、一般的に考えて常識的な範囲での交通経路を使っていたのであれば、通勤災害として認められることがあります。

 通勤災害であると認定された場合、業務災害が起きたときと同様、補償がなされます。補償について、ここでは詳しく述べませんが、

  • 自己負担なしで治療を受けられる
  • ケガの程度によって、一時金や年金が支払われる
  • 不幸にして命を落とした場合、遺族に対して一時金や年金が支払われる。また、葬祭費用が出る
  • 休業損害を補償してもらえる(※基本的には、1日の基礎支給額は60パーセント。支給されるのは4日以上休んだ場合)

などの補償が受けられます。

 このため、通勤災害と認められるか否かは、療養生活や今後の生活に大きく関わります。
 また、万が一本人が死亡してしまった場合は、残された家族の生活に大きく関わってきます。

通勤災害と認められるケース、認められないケース

 上でも述べたように、通勤災害と認められるか認められないかによって、療養生活の金銭的な負担は大きく変わってきます。
 そこで、ここではいくつかの例を出し、「通勤災害と認められるケース」「通勤災害とは認められないケース」について考えていきましょう。

・通勤災害と認められるケース

 まずは通勤災害と認められるケースからみていきましょう。

例1:いつも通り、自宅から会社に行く最中に交通事故にあった

 もっともわかりやすいケースです。この場合、当然通勤災害として認められます。なお自動車事故においては、自賠責保険なども利用できます。自賠責保険を利用すると労災保険が通っても、自賠責保険の分の金額を控除されることになります。逆に労災保険を先に申請すると、自賠責保険の補償金を受け取れなくなる点には注意が必要です。

例2:退勤中に、帰路にあるコンビニなどに立ち寄って日用品の買い物を行った

 日常生活において一般的に必要で、かつ短時間で済むものであれば、帰宅途中に日用品の買い出しなどを行っても通勤災害として認められます。また、「単身者が、帰り道に簡単な食事を済ませた」「クリーニング店で洋服を受け取った」等の行動を介した場合でも、通勤災害として認められることがあります。

例3:業務上必要なものを自宅に忘れてしまい、取りに帰っていたときに、事故にあった

 「業務上必要な書類を自宅に置き忘れてきてしまった。そのため、途中で引き返したところ事故にあった」などのように、自分自身の「置き忘れ」によるものであっても通勤災害として認められるのが一般的です。

例4:休日だったが、急な呼び出しがあって向かおうとしたときに事故にあった

 休日の事故であっても、会社などからの呼び出しがあってそこに向かおうとしたときに起きた事故なら、通勤災害として認められることがあります。

・通勤災害とは認められないケース

 上記に対して、下記のような例では通勤災害とは認められないケースが多いといえます。

例1:退勤中に同窓会に参加、数時間にわたり飲食をして帰路で事故にあった

 上でも述べたように、わずかな時間での日常生活で必要な買い出し等を行った場合でも通勤災害と認定されます。しかし、「帰宅途中である」と判断できないほど長時間にわたって、どこかに寄り道していた場合は通勤災害ではないと考えられます。

例2:事業者が管理する私道にて、帰宅中に事故が起きた

 この場合、通勤災害とはされません。ただし「業務災害である」とは認定されます。その事業者が管理する場所において起きた事故は、「その事業者の管理下で起きたもの」と判断されるからです。

例3:通常の帰宅ルートをたどっている際に、自販機でアルコールを購入。飲みながら帰っているときに、足を滑らせて土手から転げ落ちた

 この場合、「通常の帰宅ルートをたどっているにも関わらず、通勤災害とは認められない」と考えられるケースが多いかと思われます。通勤とは本来なんら関係のない「飲酒」を間に挟むことで、帰宅行為が「中断」されたと考えられるからです。

通勤災害に該当すると思われる事象が起きたときの対応

 「通勤途中に、社員から『事故にあった』と連絡された」という場合は、会社側は以下のような対応を行います。下記では、公共交通機関を利用した場合を想定しています。
 なお、上でも述べたように、「自動車での事故」の場合は自賠責保険を使うか労災保険を使うかの判断が必要になってきます。

1.まずは病院へ行くように指示

 まずは病院に行くように指示します。なお、このときに健康保険証を使われてしまった場合は、後日、取り消し手続きが必要になります。

2.病院に確認する

 社員から連絡を受けて、病院に確認します。なお、労災であると考えられる場合は、労災の指定病院にかかるのが原則です。しかし社員が動揺していて労災指定病院以外にかかってしまった……という場合もあるでしょう。この場合、社員が一度治療費を支払わなければならなくなりますが、社員が「療養の費用」の申請を行えば、きちんと返ってくることを説明してあげるとスムーズです。

3.書類の作成と提出

「療養補償給付たる療養の給付請求書」を作成、提出します。

 ここで紹介したのは、あくまで一部の例にすぎません。通勤災害に限ったことではありませんが、なんらかのトラブルが起きたとき、それがどのような解決の道筋をたどるかはケースバイケースです。ご不明点等ございましたら、弁護士にご相談ください。

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